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北海道の野生動物
野生ヒグマの生態とヒグマ事故への対策‼

北海道のヒグマ 山オヤジ Ursus arctos

ヒグマは北海道では「山親父」と俗称され、アイヌ民族は「キムンカムイ」または単に「カムイ」と畏敬の念で呼ばれてきた自然生態系の頂点に君臨する日本最大の野生動物。ヒグマは熊の仲間では北極熊に次ぐ大型の熊でその生息範囲は陸生の大型動物では最も広い範囲に分布する。生まれたばかりのヒグマは400gほどでパンダ程ではないがかなり小さい。従って大きい雄クマでは出生時体重の1200倍にもなる。0歳から1歳までの幼いクマは母グマに付きまとい良く甘える。顔は丸く体重も40Kgに満たないほど。2歳を過ぎると親離れを始め動作も敏捷になり、雄と雌とで体格に差がついてくる。4歳では雄は顔付きが骨ばって精悍に、雌は雄程の大きさにはならず顔付きも丸みを帯びている。雄に比べて優しい顔をしているが既に成獣。雄は5歳、雌は8歳ほどで成長は鈍る。雄の成獣で体長2.5~3.0mで体重250~500kg。雌は一回り小さく体重100-300kgほど、頑丈な体格で、頭骨が大きく両肩が盛り上がっている。地域による個体差が有り、餌の豊富な環境にいるヒグマは大きくなる。これまで捕獲されたヒグマで最大は推定年齢17歳・520kgというのがある。国外の野生ヒグマで最大の記録は1134㎏というのが有るそうだ。野生ヒグマの寿命は約20~30年ですが飼育されたヒグマの国内記録は37才、国外では47才が最高記録という。北海道では明治以降の開拓によってヒグマはその住み場を追われ、山岳地帯の森林部へ押し込められたが、その森林総面積の凡そ7割がヒグマの生息地域及び行動範囲であると考えられている。これは北海道の総面積に対して約半分の割合となる。元々ヒグマは北海道全域に住んでいたので生息地域は約半分に狭められた。開拓期以前のヒグマ生息数は4500~5500頭と推定されているが、現在は1900頭~2300頭前後(北海道野生動物研究所の見解)のヒグマが生息数していると考えられ、ヒグマ生息域の生息密度も2割ほど下がっていると推定されているが、今まで厳密な実態調査がされた事もなく科学的とは言えない。ただ昔は知床並に全道何処にでもヒグマが居たと云うことだ。生息環境は知床や大雪山などの山岳に多いと思われがちだが、単に一番良い場所を人に奪われただけの事。管理人は過去に遭遇した事の有るヒグマは300kgクラスだったが、近年根室市落石の国道を走行中に400kgは超えそうなヒグマと危うく衝突しそうになった。意外と身近な所に巨熊が生活しているのが北海道らしいが、北海道内でもヒグマの出没の多い地域と少ない地域があり、生息密度も偏りがあるようで、道南と道東の浜中から根室付近及び知床は生息密度が他地域よりは高いかも。ただ一般の人がヒグマと遭遇する事は今のところ普通の生活をしている限り極めて少ないが。

ヒグマの食性

ヒグマは食肉類と云う事になっているが、完全な雑食性で季節と場所に応じ臨機応変に食べ物を選択する。また人間の食べるも物は何でも食べれる能力を持っている。ヒグマが利用する草類は70種、木の実類は40種類程という。その他に昆虫、魚類、鳥や他の動物、死骸でも食べるという。地域によって動植物相には多少異なるので、餌を求めて移動するパターンは地域によって違いはあるだろう。ヒグマが暑くなったら涼しい高山に行くというのは間違いで、平地に好みの餌がなくなって餌を求めて高山に移動すると思えばよい。人間の作る農作物もヒグマにとっては好物で有り、農業被害のある事は良く知られている。またヒグマは視力はあまり良くないと云うが嗅覚には優れていて、明治の頃墓地に埋葬された遺体を掘り起こして喰ったという、墓荒らしの実話が残っている。食肉類というだけあって野生の鹿はヒグマの捕食動物。ただ人間の導入した家畜類も場合によっては狙われる事もある。ヒグマは時によって共食いもする、それが親子であっても条件(小熊の事故死など)によってはあり得る。サケが川に登る季節になると遡上河川に集結し、遡上するサケを捕らえるが、自然の中でヒグマがサケを自由に利用出来るのは、北海道でも知床の奥地くらいだろう。ヒグマが冬ごもりの穴から出て最初に食べるのは冬期間の宿便を出すために水芭蕉を食べるという話があるが、実際はよく分からない。専門家はヒグマが水芭蕉を食べる事は滅多になく、好んで食べるのはザゼンソウという。ただ道北に限れば穴から出た頃にはこれらの植物の殆どは雪の下で現実性に乏しい。最初に食べるのはザリガニや弊死した鹿等の確率の方が高そうだ。美瑛町の奥地では穴から出たヒグマが水面の開いた川に出入りしている足跡が多く、おそらくはザリガニを探した跡であろうと思われるのだが。どちらにしてもヒグマの好む植物が多い所では細心の注意が必要だろう。

ヒグマの冬ごもり

ヒグマは冬になると長期間穴にこもり、身動きせず脈拍や呼吸数も減少する。ヒグマの冬ごもりでは、わずかな音やにおい、僅から刺激でも目を覚ます浅い眠りで、冬眠とは云わず冬ごもりと言う事が多い。ヒグマの冬ごもりはエサ不足と寒さを逃れる保身の習性であると考えられ、暖かくて餌があれば冬ごもりは必要ない事になる。ヒグマは殆どが11月下旬までには冬ごもりにはいる。穴から出るのは3月下旬~4月の中旬、仔連れのヒグマは5月初旬という。冬ごもりの4ケ月以上もの間、ヒグマはエサを食べずに生き延び、メスはこの間に出産し授乳に耐えるのだから凄いとしか云いようがない。この間に消耗に備える為秋には貪欲に食べ皮下にエネルギーを蓄える。冬ごもり穴は見つけにくい所にあるが、一般に疎林で植生の繁茂した南や東の向きの傾斜面に作られる事が多いようです。穴の大きさは大人がゆっくりと入れるものから、やっとのものまで様々。穴口は常に開口しているため、風向きによっては外の様子を察知する事ができ、穴の周辺に接近した時は既に気づかれていると思った方がよい。春に山に入った人が知らずに穴に近づいて、ヒグマに襲われた事件が何度かある。これはヒグマの領域や小熊を守るための行動で、人間を襲うのは主に母グマが多いという。この時は冬ごもりのため著しく体力、腕力が低下している。従って攻撃は立ち上がって手と爪で攻撃する夏とは違い、噛みつく様な形が多いというが、籠もっている期間で違いはあるでしょう。多くの場合は至近距離から突然に現れ襲われる事が多いようで反撃は難しいと思われる。山中ではヒグマの越冬地であることを前提に周囲を観察はした方がよい。

ヒグマの縄張り

野生のヒグマは群れを作らず単独で生活していて、その行動範囲は広く、活発なヒグマで約150平方Km、時には1日で50kmほど移動する事も有るという。一般的にはひとつの山に一頭で、二頭がいることはないという事だ。多数ヒグマが生息してもおかしくないほど食べ物が豊富な山でも1頭しか生息していない事実はヒグマがテリトリーを持つ動物である事を物語っている。ヒグマの場合その個体が生存していくのに必要な条件がすべて含まれていて、その中でも冬ごもりの場所や主要な餌場、遊び場などの占有権が明確であるという。その様な場所は他の個体の進入は許さないテリトリーといえる。ただそれに隣接する地域は他の個体と重複している事も有るが互いに出会わないようにしているらしい。それが150平方Kmという面積の様だが、絶対的な占有面積は80平方Km前後らしい。ただしこれはその地域の条件で異なるし、流動的な面も有るようだ。縄張りの宣言は背こすりという動作で、木や岩などに自分の臭いを付ける事でするらしい。2頭以上のヒグマがそばにいるのは、たいてい親離れできない仔グマを連れた親子である。熊の占有面積を餌になる植生にあわせ地域ごとに生息可能数を推測することは可能だろう。

ヒグマによる人身事故の傾向

ヒグマの人身事故では猟師と山林作業に従事する人が約7割。山菜採りなどが約2割、残りは登山、釣り、農耕作業などでしめられる。猟師はヒグマにとって敵であり、山林作業はテリトリーの侵略者(出会い頭も含め)で、ヒグマからすれば自己防衛と排除という自然の行動と云えるだろう。登山だけで見れば確率は約4%と殆ど出会うことはないと云える。ただこれが犬連れだとどうなるか、一気にハンター並(ハンターの確率は被害にあった件数でヒグマを仕留めた場合で、北海道全体で年間300頭前後の射殺、多い年では600頭を超える数が捕殺、知床では30頭前後射殺されている数は含まれていない)に襲われる確率となるかも知れない。訓練されていない犬を山に連れて入るのはいかに危険な事が想像出来ると思う。愛犬家は里山でも犬を連れて行くのはやめましよう。

犬連れ入山(登山)のリスク

なぜ犬連れが危険なのか先に簡単に書きましたがもう少し詳しい説明を。北海道で山野に入る場合、どんな場合でもまずクマに人間の存在を知らせる事が重要です。これでクマの殆どは(例外として子連れ熊とか、人を捕食の対象としている、人の荷物を狙っている熊もあり得る)人から離れていきます。山野に入る場合は熊と突然の遭遇を避ける様にする事が重要になります。マタギ犬は山野では排泄(マーキング行為を含め)はしない様に厳しく躾けられているが、普通ペットとして飼育されている犬がそんな躾けや訓練をしているとは思えず危険を伴う。誰もが知っている様に犬の排泄行為は縄張り宣言であり、ヒグマに対しテリトリーからの排除行動を煽る事になるかも。なぜか気の荒いヒグマはイヌに対して敵愾心がある様で、良く飼い犬が襲われたのを見聞きしている。山では犬が本来持っている類い希な能力で、人を避けて隠れていた熊を察知して吠える事で熊が逃げてくれる時は良いが、ヒグマの逆襲(訓練されたマタギ犬でも命を落とす事もある)にあう事もある。ペットとして飼育された犬であれば窮地に陥ると飼主の元に走る事になり、最悪の時は犬の次に標的にされるのはイヌの飼主となる。最も危険な状態で熊を人間の元に連れて来るというパターンを避けるのが利口な選択でしょう。対クマ用に訓練された狩猟犬(マタギ犬や熊犬と呼ばれる犬)で無ければ、犬を山野(登山や釣りでも同じ)に同伴するのはリスクが高い。イヌ連れ登山が生態系に及ぼす影響は「犬連れ登山を考える」のサイトで確認を。

人身事件の内訳

35年間(1970~2004年)の事故総件数は66件だが、そのうち自損5件で実際の事件は61件。内訳は猟師が25件で一般人が事故にあったのは36件となっている。
一般人の事故36件の内訳
原因別に分けると食害9件、戯れ4件、排除23件という結果となっている。別な見方では遭遇11件、穴の確保5件、食物の入手2件、テリトリーの確保1件、子の保護4件、その他14件となっている。食害9件に関しては最初から獲物として人を襲ったのか、襲った結果として食害に至ったのかは分からないのもある。ただどんな形であっても食害に至る可能性は3割近く有り、発見が遅れたらもう少し食害の割合が増えると推測される。

反撃は有効か

1970~1991年の(一般人)事故28件のうち9件が死亡しておりその中で反撃用に使える武器になるものを持っていなかったものが7件、持っていたのは2件。生還した残りの19件ではいずれも持っていた鉈や鎌または素手で反撃して生還している。これからはヒグマに襲われた時は反撃が唯一確実な手段であると云える。それでも生還の保証はないというのが恐いところ。出会わないことが最善です。

ヒグマに死んだ振りは有効か?

死んだ振りが有効という根拠は何処にも見いだせない。死んだ振りをしてヒグマの攻撃に耐えられる人がいるとはとても思えない。少なくても死んだ振りをして生き残った人はいないし、死んでいては確認も出来ない。過去に死んだ振りをしてかえって被害が大きくなった実例はあったという・・「死んだ振り」や「無抵抗」は根拠のない伝説みたいなもので被害を大きくするだけと思った方がよい。

熊撃退スプレーの限界

北海道公式のヒグマによる遭遇や人身事故例で「襲ってきた熊を熊撃退スプレーで撃退した事例」は一例も確認出来なかった。一般にクマ撃退スプレーの使用時には準備に要する時間と地形、気温、障害物、風向き、気温などによる制約が多すぎる。ある程度の距離があり準備する時間的余裕と条件が一致しないかぎり使用する方にも危険で制約は大きい。短時間で噴射可能な体制をとれるよう装備方法の工夫や訓練は必要だが出会い頭の遭遇での使用は不可能。現実のフィールドでは使えないと事の方が殆どだろうというのが今までの事故から読み取れる。元々は痴漢撃退用に開発されたもので、下手をすれば使用者自身が危機に陥る可能性のある「熊撃退スプレー」は諸刃の剣。熊撃退スプレーに関して言うなら、土地の地形と熊の動向に熟知したエキスパート以外で、熊撃退スプレーの効果を発揮させることは極めて難しい。

最近は事故増加傾向

昭和後半から平成前半の人身事故は、4~5年に1~2人の死亡事故、毎年1~2人の傷害事故程度だったが、平成18年頃から増加する傾向に有る。熊嵐で有名な苫前町の三毛別羆事件は北海道のクマの生息密度が世界有数だったといわれる中でクマのテリトリーを奪う形で進められた農地開拓という中で起きたが、道北や道東の特定の生息範囲の中で見るならヒグマ生息密度はその当時とそんなに変わっていない、そこに人が入って行く以上何が起きても不思議でない。最近熊の胃の内容物から鹿のほか、弁当の残飯が出て来る事が有るそうで人間社会のマナーの悪さだけではすまされない危険な状況と云える。有る程度人間と熊の棲み分けという関係が長く続いたので、人間が自然と野生動物に無関心になって、野生動物との付き合い方を忘れてしまった様だ。野生動物との付き合い方にはペットとは異なる厳しいルールが有ると云うことだ

ヒグマとの共存は可能か

ヒグマは北海道の生態系の頂点にいる動物で、北海道の自然度を測るバロメーターとも云える。現状では基本的に人と熊との棲み分けが出来ており、特殊な事例を除けば事故の殆どは人間側の注意で防止できる。また熊と人とはその生存環境等の違いから今後も棲み分けが可能な動物と云えるが、最近は過疎化などで人と熊の棲み分けという形が崩れつつあり、ヒグマがテリトリーを奪い返している。それは市街地を外れるとヒグマと遭遇する可能性は増えつつあるという事になり、人間界の安全を優先するなら駆除は仕方ない事だろう。ただ野生動物に害獣というレッテルを貼り、山奥まで行って熊を捕ったり春熊の駆除などの必要はどこにもない。基本は棲み分けによる共存でそれが可能な環境を残すこと、少なくとも公有林に関してはコクワやヤマブドウ等の除伐は止めるべきで、植林の際は針葉樹にドングリ等の木の実を付ける樹種も混ぜて播種、植樹すべきだろう。本格的に共存をはかるとなれば、それなりに費用と人間側に教育は必要にはなる。今の日本の価値観は利潤追求一辺倒という側面が強く、経済活動にとって余計なものは、それが人であれ、動物であれその存在を許さないような雰囲気すらある。そんな国では保護や共生ではなくヒグマ等は動物園で繁殖させ野生ヒグマは実質的に駆逐するという選択をとりかねない。経済最優先と云う輩には殆ど馬耳東風だろうがあえて言っておく。

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サファリーパークなどで飼育されているヒグマと野生のヒグマは別物と考えて下さい。

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