滝上町市街地の中央を流れる渚滑川は、天塩岳に源を発し、紋別市を経てオホーツク海に注ぐ延長84㎞の一級河川。滝上市街の真ん中を切り裂く渓谷は映画のリバー・ランズ・スルー・イットのシーンを思い起こさせます。渚滑川は釣り場として見ても魅力の有る川で昔からニジマス、ヤマベ、イワナなど渓流魚の釣り場として親しまれてきました。過去幾多の大物ニジマスの伝説を持つ渚滑川ですが、釣りブームの波は渚滑川にも及び資源の枯渇が著しく、滝上町では毎年ニジマスの放流を続け維持を図っていたが、急増した釣り人が釣った魚を持ち帰ってしまう事から放流の成果が上がらずキャッチアンドリリース区間を設定しスポーツフィッシングの振興で街の活性化と釣場の保護に乗り出し、やっと放流の成果が現れだしたと云う。『渚滑川とそこに生息する動植物は滝上町の貴重な財産です』と、洛陽の滝には魚道を設置せずそのままという、本気を素直には信じられない現実も一方では残されている。
渚滑川の魚を少しでも残していこうと平成7年から下流域の8Kmを魚族保護調査区域とし、キャッチアンドリリースの徹底を図り、平成9年には上流域の16Kmを加え現在は24Kmに。キャッチアンドリリースには強制力はなく滝上町が釣り人に対し、お願いとして実施されている。リリースを定着させる事で、近い将来『北海道のイエローストーン』のような釣り場にする事が目標の様です。滝上町では『実験に取り組んでいる』という表現をしていますが、モラルのない釣り人も含めて大勢の釣り人が訪れたらどの様な問題が起こるのかを十分に考え配慮した対策をとってほしいと思います。ひとつは農地に釣り人が入り込む問題や駐車場のトラブルなどに関すること、背景には川に入るルートと駐車スペースの少なさも有る様だ。もう一つは『クマ出没注意』の看板、釣った魚の放置でそれに熊がついてしまう事。これらの中には全くモラルだけの問題も有りますが、中にはキャッチ&リリースの風潮の中でキープを諦め魚を放置する場合もあるという。最近キャッチ&リリースを釣師の絶対条件のように言う風潮があるが、在来の渓流魚が生息する川にニジマスを放流している場合のキャッチ&リリースと言うのは管理釣り場と同じ発想でどこか不愉快さを感じてしまう。釣りにとって理想的なキャッチ&リリースが必ずしも正しい釣り方とは言い切れない。もうひとつが『泥棒注意』の看板、聞いた話だが石で車の窓を壊して盗みをする者もいるとの事で、落ち着いて釣りを釣る気にはなれない、渚滑川がそれだけ有名になった証なのかもしれないが迷惑な事だ。快適な釣りを楽しめる様に環境を整えていく事も必要で、ここは滝上町に期待。
渚滑川はレインボーの釣れる川として全国的にも知られる有名な川のひとつですが、滝上町の洛陽の滝で海から上ってきた魚の遡上が遮られている。遡上レインボーやサクラマス、サケなどはこの滝まで。滝より下流は大型のヤマメも多く、ヤマメ釣り師にも人気があるが、下流域にある支流の宇津々川はヤマメの禁漁河川なので要注意。渚滑川で釣り以上に気になるのが至る所に立つ『釣り人駐車禁止』『クマ出没注意』の看板、原因は地に落ちたとも言うべき釣り人のマナーと云う事に加えて、釣り場の環境整備、キャッチ&リリースと云う価値観が複雑に絡み合い問題をより複雑にしている。渚滑川に限って云うならニジマスのキープは元来の生態系に戻す上では有効な手段だが(渚滑川在来魚の育成と放流があれば最なお良い)それには在来の渓流魚はキープしない事に加えて洛陽の滝に魚道を設置するか撤去が必要。(※洛陽の滝が元々有ったホロソウであり魚止めの滝であると云うのであれば少し事情は変わるが、武史郎の東西蝦夷山川取調日誌の中にはその記載がない、常呂川ではホロソウ(厚和)湧別川でもホロソウ(白滝)と具体的に全ての魚種と魚止の滝を記載している。濁川より上流の渚滑川に関しては聞き書きである事から、当時これを知るものがいなかったのかもしれない。濁川で当時此地に住むシコツアイヌとも会って詳しい話を聞いているようですがシコツアイヌは大型獣専門の猟師であった様子、この方はアイヌ人物誌に仙人シコツアイヌとして登場する。興味のある方は滝上町にお問い合わせを・・たぶんより詳しい資料があると思います)もう一つは釣り方による総量規制と魚種ごとの体長制限、産卵期の遊漁禁止&制限措置を組み合わせた対策が必要、総量規制にはキャッチ&リリースも対象とする事。滝上町では天然の在来魚が生息する渚滑川にニジマスだけを放流し在来魚に対する対策が全く見えてこないが、在来魚だけで北海道の川に相応しい『北海道のイエローストーン』が作られるのなら素晴らしいとは思います。河川を取り巻く環境の問題として、渚滑川に限らず酪農地帯を流下する川の殆どに、土砂の流入と家畜の屎尿などによる水質が年々悪化の傾向で、汚染が進むと将来は魚の生息出来ない川になりかねない。特に渚滑川の様に渓谷の多い河川では河畔林の効果がそれ程期待出来ないだけにこの点は考慮していく必用があると思われますが・・・先進的な酪農家が無農薬や低農薬による飼料栽培と糞尿を堆肥化した循環型で農地内でリサイクルする農法をとられている。環境汚染のリスクを抑え水質悪化を防止する上では貴重な事でこれからの酪農業に期待する。何よりも安全な乳製品は環境に優しい農法でしか生まれない、そういう酪農を釣り人が理解し、消費者として守り育てていくという視点が必要であろう。